『星に帰れよ』 新胡桃
11月に読んだ課題図書2冊目。
星に帰れよってタイトルに惹かれました。
出版社 : 河出書房新社
発売日: 2020/11/13
内容:16歳の誕生日、深夜の公園で真柴翔は"モルヒネ"というあだ名のクラスの女子に会い――。高校生達の傲慢で高潔な言葉が彼らの生きる速度で飛び交い、突き刺さる。第57回文藝賞優秀作。
感想:公園で早見さんへの告白の練習をしていた真柴を目撃したモルヒネから始まるので、青春ラブストーリーかと思ったら、すぐに違う方向へと行きました。
モルヒネが真柴に自分のキャラについての悩みをぶちまけるシーンを見ていて、
きっとめっちゃリアルなんだろうなぁと思いました。
今の高校生はうちが高校生やったときよりもきっとめっちゃ大変で、
いろんな場所で自分を演じるのに、SNSもあるから整合性も入りそうですね。
モルヒネがキレにキレているあと真柴が「もういい?」と聞き、モルヒネは帰ってもいいか?と言う意味かと思ったら、自分が喋ってもいいかと言う確認だったと言うシーンがあるんですけど、真柴めっちゃ大人やんと感心しましたね。
うちならドン引きして適当に笑って帰ってしまう
話遮らずに最後まで聞いてくれる人になりたい。
『星屑すぴりっと』 林けんじろう
課題図書自分に課したのに、全然できませんでした……
その代わり?11月は2冊読みました。
前半に読んだのが、『星屑すぴりっと』
出版社 : 講談社
発売日: 2022/8/25
内容:広島県尾道市に住むイルキは、親戚から"イルちゃんは、せいちゃんにひっつきもっつき(人にべったりくっついて離れない)じゃのう"と言われる中学一年生。
しかし大好きないとこのせいちゃんは、多発性硬化症という難病にかかっており、体だけでなく心も弱っていた。
そんなせいちゃんがある日、「映画が観たいのう」とぽつりと漏らす。だがせいちゃんは、頑なに映画のタイトルを言おうとしない。
せいちゃんの望みをかなえてあげたいが、しかし──もやもやを抱えたイルキは、大阪出身の大人びた同級生・ハジメと知り合う。
ハジメの力を借りて、どうやらその映画はせいちゃんが大学時代に作っていたものではないかと突き止めるイルキ。
しかもその映画はいま、京都で上映しているらしい。
少ない軍資金。何やら事情があるらしい同級生。不安と期待を抱えた二人の、京都までの旅が始まる!
感想:THE青春でした。
いいよなぁー。こういう青春してみたかったなぁ。と思うやつですね。
絶対作者の人は言われたくないやろうけど、スタンドバイミーみたいな。
最終章は絶対感動系やからハルキが亡くなったシーン入ってくるかと思いきや、入ってこないのが意外でしたね。
一番好きなシーンは、広島から京都に行く時ですね。
ほんまは京都に行くのにイルキは親にしまなみ海道にサイクリングに行くと嘘つく。
その時、イルキの父は「だいじょうぶじゃのうなったら、そばの友達を頼りんさい」続けて「もちろん、友達がだいじょうぶじゃのうなったら、イルキが寄りそったりんさい。そのときは、せいいっぱい力になったるんで」「それが、ふたりして旅に出る意味なんじゃけえ」と言います。
私は旅行大好きですが、スタンドバイミーみたいな旅行は今までないので、
もし友達と旅行して友達が困難に遭遇したら、きっとこの言葉を思い出すと思います。
星兎
今年自分に課している”星または月がタイトルに入っている本を読む”。
この課題図書の6月は『星兎』
この本は出版元が倒産による絶版本で、なかなか手に入らない本。
出版社 : パロル舎
発売日 : 1999/6/1
内容:話の内容自体はそこまでびっくりするような内容ではない。
少年が等身大のうさぎと出会い、少しの時間を一緒に過ごし、別れる。
あらすじだけ書くと誰しもがどこかで読んだことのあるような話だが、
とってもよかった。寮美智子さんは童話作家としてデビューしたのもあって、
本を読んでいるととっても綺麗な世界を想像できる。
絵本を読んでいるかのような文章が本当に素敵。
余談だが、この本でうさぎの大きさを等身大のうさぎというのが出てくる。
等身大とは人の身丈という意味を知らずに、うさぎの等身大かぁ手のひらサイズ
かな。とか思ってました。うさぎがドーナツ店で、少年と向かい合って座るシー
ンまできて、あれ?なんか変やな。と思い。そこまで来て初めて「等身大 意
味」でググりました。人の身丈の大きさって出た時、うさぎでか!!ってなりま
した。
この本で一番好きなシーンは、ドーナツを食べた後、おごってあげるといううさ
ぎ。でも、お金は持っていなくて、ソーダの王冠で払おうとするところです。
それでは払えないと言われた後、うさぎは「どうしてきれいなだけじゃダメな
の、この世界では」というセリフです。
大人すぎて、そんなきれいなセリフですら、ダメなんだよ綺麗なだけじゃ。と諭
してしまいそうになります。笑
こんなファンタジーにリアル持ち込む嫌な人間になりそうでした。
『天を掃け』 黒川裕子
5月の課題図書にしたのは、黒川裕子さんの天を掃けにしました。
また、ヤング向けにした理由が、
気軽に読みたいという思考だったのですが、
読み切るまでに結構時間がかかりました。
出版社 : 講談社
発売日: 2019/7/18
内容:必要なら、何百夜かけてでも全天を捜索する。それが、掃天。短距離走者として期待されながらも、走れなくなった駿馬は、中学二年生の初夏、たったひとりで小惑星探索にいどむすばると出会う。
感想:THE青春っぽさを感じさせる作品でした。
めっちゃ気になったのが、主人公の両親がファーストネームで文中に書かれていること。里沙が回鍋肉を作った。とか出てくると、主人公の母親じゃなくて友達におったかな?となりました。それでリズム狂わされて、読むのがだんだん億劫になり、放置したりして、読み切るのに時間がかかりました。
登場人物にそこまで魅力的な子もいなくて、
全体通してふんわりといい話やったなぁっていうのが感想です。
一番よかったところは、タイトルにもなっているこの部分です。
「−−−−天を掃く。必要なら何百夜かけてでも全天を捜索する。それが、掃天。」
やっぱり星ってロマンを感じますよね。
本に書いてあるような、気が遠くなる作業を本当にしているなら、
その作業をしても何百夜をかけてでも小惑星を見つけるという意気込みのすばるに、
がんばれと応援したくなるセリフでした。
なぜ掃くという漢字を使うのでしょうか。
英語だとスカイサーベイと書いています。
捜索の捜の方がしっくりくる気がします。
不思議。
『デリバリールーム』 西尾維新
学生の頃にめちゃくちゃハマった。
西尾維新。
出版社 : 講談社 (2020/9/30)
発売日 : 2020/9/30
あらすじ:彼女のもとに1通の招待状が届いた。書かれていたのは―“参加費50万円”“幸せで安全な出産と、愛する我が子の輝かしい未来を獲得する未曾有のチャンスを進呈”“デリバリールームへの入室が必須”尋常ではない申し出に困惑しつつも、宮子はこの招待を受けることにする。それぞれの事情を抱えた妊婦5人がそこに集った。一体何が始まるのか?そして誰に安産の女神は微笑むのか!?
めっちゃ面白かったです。
デスゲームの話なんですが、デスゲームの参加者はなんと全員妊婦。
妊婦たちが争うなんて見たことないし、妊婦にとってよくないことばかりさせられてる、
妊婦って世間だと優遇されるべき存在なのに、組体操みたいなことまでさせられて、ハラハラしました。
『月まで三キロ』 伊予原新
今年決めた読書縛り、毎月タイトルに星または月が入っている本を読む。
4月に読んだ星系縛りの本。
今月は本屋で他の本を探しているときに、見つけました。
表紙に月があって月まで三キロというタイトルにも惹かれました。
出版社 : 新潮社
発売日 : 2018/12/21
あらすじ:この先に「月に一番近い場所」があるんです――。樹海を目指した男が、そこで見たものは? 「月は一年に三・八センチずつ、地球から離れていってるんですよ」。死に場所を探してタクシーに乗った男を、運転手は山奥へと誘う。「実はわたし、一三八億年前に生まれたんだ」。妻を亡くした男が営む食堂で毎夜定食を頼む女性客が、小学生の娘に語った言葉の真意。科学のきらめきが人の想いを結びつける短篇集。
とてもよかったです。
短編集というのもありますが、文章がとても読みやすかったです。
全ての短編に蘊蓄があって、それもへぇそうなんだ〜と思えるぐらいでちょうどよかったです。
短編に共通しているのは思い悩んでいることがある人が、
科学的な話を聞いて、行き詰まっている考えを晴らすような感じでした。
思い悩んでいると私は思いましたが、背表紙のあらすじには”ままならない人生”と書かれていました。
”ままならない人生”って表現いいですよね。
確かに人生はままならない。
星六花という話で、「若いっていうだけで、輝いて見えちゃいます。顔がきれいとかかわいいとか、そういうことは関係なく、どんな子にもある種の美しさを感じることができるようになったというか」
めっっっっちゃわかります。
アラサーになった今、大学の頃の写真を見ると、輝いているように見えます。
若いというだけで弾けるようなエネルギーがあって、みんな本当にきれいだと思いました。
顔がもう変わってないと思われる、20代前半の見ても写真を見るとやはり若いなと感じます。
ありきたりですが、今が一番若い日というのを実感します。笑
毎年成人式の振袖の子を見るたびに、
きらきら光線に耐えれない!と目を覆いたくなります。
自分も20歳の時に着たし、21歳の時に振袖の子を見たら、去年着たなぁぐらいにしか思っていなかったのに!笑
『白の月』 谷村志穂
今年決めた読書縛り、毎月タイトルに星または月が入っている本を読む。
3月に読んだ星系縛りの本。
今月はなかなか見つからず、背表紙をめちゃめちゃなぞって探しました。
白の月を見つけた時、嬉しかったです。
表紙にも綺麗な満月が描かれていました。
出版社 : 集英社
発売日 : 2004/11/26
あらすじ:変容する愛の形のさまざまを描いた作品集。
妊娠8ヶ月。それなのに、入籍、同居を決められないままの美咲。ふと見つけた一枚の写真から、過去の恋が鮮やかに蘇えるが……表題作他。さまざまな愛の形の変容を描く8編からなる作品集。
きっと読むのがほんの少しだけ早かったのかも、、と思わされる一冊でした。
妊娠や子どもがいる生活で、ちょっとずつ変わる関係をリアルに書いているのか、ドラマとかもっと小説よりの本よりものめり込むという感じではなかったです。
ただ、冬瓜色という話はとてもグッと入り込んでしまいました。
特にこのやりとりが好きです。
p101父「冬の瓜、夏の味、透き通るような色、静かに光る肌の感じ(以下略)」
姉「なんだか透子さんみたいね。冬瓜って、それでいて簡単に崩れたりしないの。 一緒に何を煮ても、冬瓜は冬瓜のままで染まらない。ね、透子さんみたいでしょ?」
このやりとり私なら最大の賛辞として受け止めてしまいそう。しかし、当の透子は
p 119「でも私は色のない冬瓜ですもの、混じることがもともとできなかったのかもしれません。」とある。
全然そういう話ではないけれど、褒めてるつもりでも相手にはそう捉えられないこともあるのかと気づいた一冊でした。