『星の子』 今村夏子
2023年の読書縛り タイトルに星・月がある本
1月に読んだ本
この本が1月最初に読んだ本なので、その縛りにした。
出版社 : 朝日新聞出版 (2019/12/6)
発売日 : 2019/12/6
あらすじ:林ちひろは、中学3年生。出生直後から病弱だったちひろを救いたい一心で、両親は「あやしい宗教」にのめり込んでいき、その信仰は少しずつ家族のかたちを歪めていく…。
感想ネタバレあり:
この本では林ちひろという主人公が赤ちゃんの時、湿疹が原因であまり寝れない頃、
父親の会社の同僚より金星の恵みという水をもらったことから始まる。
その水を使うようになってから、どんな民間療法を試しても治らなかった湿疹がなくなり完治した。
そこからどんどん宗教にのめり込む。
林ちひろの家はおそらく宗教により、ゆっくりではあるが貧しくなっていく。
ちひろの姉は、宗教にのめり込む家族に見切りをつけ出て行ってしまう。
そんな中、当の本人ちひろは不幸では無いのだ。
学校では友達が少ないが、強烈にいじめられはしていないし、集会に行けばたくさんの顔馴染みがいる。
日々をつつがなく生きている。
もし私が友達ならどうしていただろうと思う。
宗教に洗脳されていて、その世界が当たり前として生きていて、不幸ではないという。
不幸に見えたなら何がなんでも、その世界から引っ張り出したいと思うだろう。
でも彼女はその世界に満足しているのだ。
どうしようもない。
それを自分が生きている世界に引っ張ろうとすることは、
彼女を洗脳から解くというより、もう一度洗脳するということでは無いだろうか……。
自分の生きている世界が正しいのは本当なのかと問われれば、そうだと言いたいが、それも私の価値観でしかない。
最後は星を親子3人で見て終わる。
宗教から抜け出した、とかでもない。
救われていないじゃないかと言いたいが、そもそも彼らは救われたいわけでもない。
そう思うととても悲しくなる作品だった。